IT用語解説

“サーバー”とは?~だいたい伝わるIT用語解説

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様々なシステムの構築に欠かせない「サーバー」とは一体何なのでしょうか?

サーバーの役割やPCとの違いの他、サーバーを用意する方法についても解説します。

サーバーは役割

「サーバー」(server)とは、”serve:供給・提供する”+”er:人・機器”のこと、つまりウェブサイトやメールなど、常に特定のサービスを提供する仕組みのことを指します。

意味合いとしてはウォーターサーバー・ビールサーバーの「サーバー」と同じですね。

少しIT的な側面で補足するならば、何らかの要求(リクエスト)に対して応答(レスポンス)を返すものをサーバーと呼びます。

「サーバー」に対して、サービスを利用する側=要求を出す側の機器のことを「クライアント」(client)と言います。

サーバーとは特定のスペックや製品を指すわけではなく、機能・役割のことなので、1台の機器に複数のサーバー機能を持たせることも可能です。

サーバーの種類

ITにおけるサーバーとしては、例えば次のようなものがあります。

  • ウェブサーバー:ウェブサイト・コンテンツを提供する
  • メールサーバー:メールサービスを提供する
  • ファイルサーバー:ファイル・データを保管する
  • DBサーバー:データベースを提供する
  • FTPサーバー:ファイル転送サービスを提供する
  • DNSサーバー:ドメイン名を管理する

ここで上げた例は極一部で、実際にはもっとたくさんの種類のサーバーがあります。

ただ、例えば個人でウェブサイトを構築しようとした場合は、通常意識するのはウェブサーバーとDBサーバーくらいでしょうか。

他は概ね、専門の企業が提供しているサービスを利用することがほとんどだと思います。

サーバー機器に求められる要件

サーバーとは常にサービスを提供するものであるため、負荷や故障に強く、仮に不具合が発生した場合でも動作を止めない、常に安定して動作する、といった機器性能が要求されます。

ウェブサイトやメールが、ちょくちょく使えないようなことが起きたら困りますよね…。

そのためサーバーとして使用する機器には、一般的なPCに比べて、次のような性能・機能が求められます。

  • 大量のアクセス・処理を捌くための高速な処理性能
  • 連続稼働を可能にするための機器・電源・空調設計
  • 故障しづらい、品質の良い部品を使用した機器構成
  • 特定の部品が故障した場合でも、継続して稼働できる可用性
  • 部品の交換やメンテナンスをできるだけ無停止で行えるような保守性

前述のとおりサーバーとは”機能・役割”を指す言葉なので、極端なことを言えば、皆さんが家庭や仕事で使用しているPC(パソコン)でもサーバーとして動作させることは可能です。

しかし、開発用・お試し用としてならまだしも、企業として提供するサービスが時々停止するようなものでは困ってしまいますので、実際に構築する際は、上記のようなサーバー機に適した機器を用いてサーバー機能を構築する必要があります。

サーバーOS

サーバー機は入手したらすぐに使えるわけではなく、PCと同様に”OS”を用意して、OSをセットアップしたうえでサーバー機能をインストールする、ということになります。

普段PCで使用しているOSとは異なり、機器と同様に、サーバー機として稼働するのに適した機能を持つOSを使用します。

PC用のOSと異なる点としては、

  • 複数ユーザーの同時利用に対応している
  • ネットワークに対する処理性能が高い
  • 動作の安定性が重視されている
  • GUIのような使い易さはあまり重視されていない(かも?)<私見ですが

といった点が挙げられ、選択肢としては大きく分けて2種類のOS体系があります。

Windows系サーバーOS

Microsoft社のWindowsベースの商用サーバーOSです。

見た目や操作感などはPC用のWondows OSに近いため、Windows環境に慣れていれば比較的とっつきやすくなっています。

その分、Windows独自の仕組みで動いている部分もあるため、後述のLinux系よりは自由度が低いと感じることもあります。

Windows系のアプリケーションが動かしやすいため、使用する環境・アプリケーションによってWindows系サーバーOSを選ぶ場面もあるでしょう。

Linux系サーバーOS

オープンソースで使用できるものがあったり、商用製品としてリリースされているものがあったり、と様々なバリエーションがあるサーバーOSです。

元々はUnixから派生したものなので、Linux系を含めてUnix系OSとすることもあります。

有名なところではRed Hat Enterprise Linux、CentOS、Ubuntuといったバリエーションがあり、それぞれ特徴が異なりますので、(Windowsへのこだわりが無いのであれば)自由度の高いLinux系OSを使用するというのも選択肢の一つになるでしょう。

一方で、Windowsほど見た目(GUI)の使い勝手が良くなく、コマンドでの操作が中心になりますので、玄人向けという印象はあるかもしれません。

最初は操作に戸惑うかもしれませんが、その分、動作は軽く安定性もあるのが一つの特徴となっています。

Windows系とLinux系では特徴や操作・動作環境が異なりますので、どちらを導入するかは、予めしっかり検討しておきましょう。

サーバーを用意するには

サーバーにはそれぞれ特有の役割があり、またそれを維持・稼働するための要件について解説しました。

ここまでの話で、サーバー機は高価なものとなることも想像に難くないと思います。

サーバー機として使用するマシンは、安くても数十万円、スペックの良いものであれば数百万円します。

また、1台のサーバー機に複数の機能を持たせることもできるとは言いましたが、万が一、何かしらの不具合が発生した場合に共倒れにならないよう、役割毎にサーバー機器を分けることも重要です。

場合によっては、同じ機能を持つサーバー機を2台用意して、不測の事態に備えるといった対策も必要になるでしょう。

そうなれば機器の台数も増え、管理や設定も複雑で難しくなり、更に費用も掛かってきます。

企業としても簡単に用意するできるものではないですし、個人ともなればそれこそ相当にハードルは高いと思います。

そんなサーバー機も、かつては高価なマシンを揃えるしか方法がなかったのですが、今は様々な方法でサーバーを構築することができます

サーバー機を購入する

とは言え基本として、サーバー機を購入し、自前でOSのセットアップやサーバー機能のインストールを行う方法があります。

ハードウェアを自前で持つことを「オンプレミス」と言います。

サーバー機の設置場所は社内であったり、データセンターであったり、と様々ですね。

サーバー機は当然自分のモノなので、いくらでも好きなように設定して使用することができるというメリットがある一方で、OSのアップデート・セキュリティ対策・保守運用・故障対応など、様々な事柄を継続的に管理しなければいけない、というデメリットもあります。

また機器以外にも初期費用として、ネットワークの構築やデータセンター使用料などの費用も発生するので、全体としてどれくらいの費用が必要か、しっかりと検討することが必要です。

メリット

全て自由に構築することができる

デメリット

周辺環境含め初期費用がかかる、環境構築の技術が必要、構築後の維持管理が必要

レンタルサーバーを使用する

企業が提供しているサーバーのレンタルサービスを使って、サーバー環境を構築することができます。

このサイトもレンタルサーバーサービスを利用して構築しています。

趣味のブログからお店のWebサイトまで

一つのサーバー機器を占有できるサービスから、特的のサーバー機能のみに限定して利用できるサービスなど、目的に応じた様々なプランがあります。

例えばウェブサイトの構築など、よく利用されるサーバー機能はボタン一つで申し込みができ、各種設定もウェブ画面上で行うことができるため、初めてサーバーを利用する場合でも比較的とっつきやすく、またプランに応じたサポート体制も充実しています。

費用に関しても、最も安いプランであれば月数百円程度から利用でき、個人でも使用しやすい環境となっています。

半面、自由度はあまりないため、サーバーの構築・管理を含めていろいろやってみたいという場合には向いていないでしょう。

また初期費用以外に、ランニングコストとしてサーバー利用料が定期的に発生するため、費用の管理にも注意が必要です。

メリット

手軽に導入できる、設定が簡単、機器管理が不要

デメリット

あまり自由度がない、ランニングコストがかかる

クラウドサービスを利用する

Amazonが提供する「AWS」や、Microsoftが提供する「Azure」といった、クラウドサーバーのサービスを利用することができます。

レンタルサーバーのように自前で機器を持つことはなく、でも自由度が高い環境を使用することができます。

機器を購入するオンプレミスと異なり、使用している途中でサーバーのスペックをより良いものに変更したり、ストレージのサイズを大きくしたり、といった調整が可能です。

またサービスの種類も豊富で、(例えば、ウェブサイトを構築したい・データを保存したい・メールを管理したい、といった)様々な目的に応じて細分化されたサービスが提供されていますので、最適な機能を安価な料金で利用することができます。

ただし、細分化されている分だけサービスの知識が必要になり、また料金体系が従量課金であることも多くあります。

そのため、レンタルサーバーに比べてサービスの組み合わせや料金計算が複雑で、使用状況によっては想定外の料金が発生してしまう可能性があるので、利用にあたってはより十分な計画・検討が必要です。

メリット

比較的自由度が高い、サービスが多種多様、機器管理が不要

デメリット

クラウドサービスの知識が必要、料金が想定外に高くなる可能性がある

(番外)サーバーを構築しない

サーバー環境を構築するには、やはりそれなりのコストがかかります。

コストと一口に言っても、ハードウェア費用・サービス利用料・構築費用・維持管理費用と様々です。

であるならば、選択肢としてサーバーを構築しない、という方法もあります。

例えばGmailのようなメールサービス、kintoneのような業務アプリケーションサービス、Lineやチャットワークのようなコミュニケーションツール、といったように、現在では様々なサービスが無料・有料で利用できる環境があります。

もちろん他社のサービスなのでいつか終了するかもしれませんし、何かしらの障害で利用できないタイミングがあるかもしれません。

そういったデメリットの可能性も含めて利用の検討を行ってみるのも、選択の幅を広げることになります。

メリット

必要なサービスをすぐ利用できる、機器管理が不要

デメリット

ランニングコストがかかる、サービス終了の可能性がある、個別カスタムは難しい

まとめ

今回は「サーバー」について解説しました。

かつては高価なマシンを購入して構築するしかなかったサーバーですが、今では購入する以外にも、レンタルやクラウドサービスなど、様々な方法で構築することができます。

必要とされるサーバーの目的・環境に応じて、適した方法で構築することで、コストメリットの高い環境構築・運用を行うことができるようになります。

そのうち、実際のサーバー構築についても紹介できればと思いますが、今回はここまでということで。

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ABOUT ME
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理系大学卒業後、音楽の専門学校へ。ギター・ドラムでの音楽活動を経て、30歳手前でプログラマーへ転身。
ウェブシステム・スマホアプリ・マクロツールなど様々な受託開発を経験した後、メーカー企業で業務アプリケーションの開発に携わる。45歳を過ぎて独立、グローナレッジ設立。
応用情報処理技術者、ウェブデザイン技能検定3級、色彩検定2級、日商簿記2級。登山は富士山経験あり、マラソンはハーフ1h58m。
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